どっちが好きかを選んでいくと好みにあった味が生成
味センサや味物質の配合デバイスを用いれば,味を味物質の配合比(味生成パラメータ)として記述し,それを制御することで味を生成することができる.これにより,個人がパラメータ空間を探索して,目標とする味や自身の嗜好に合う味を得ることができる.しかし,この探索のためには,ユーザが各味物質を理解していることや,自分の好みを数値や言葉で説明できることが求められる.その結果,ユーザが知っている配合の周辺に探索範囲が偏ったり,求めている味をうまく数値・言語として表現できず探索が進みにくくなったりする.そこで本稿では,一対比較 UI による味生成パラメータ探索手法を提案する.ユーザは提示された 2 つの味を実際に味わい,「どちらがどの程度好ましいか」を答えるだけでよい.これにより,味物質の知識がなくても,また好みを数値や言葉で表現できなくても探索が可能になる.本稿では選好ベイズ最適化を用いることで,5 次元空間で 15 から 20 回程度の比較で目標のパラメータ付近に収束に向かうことを可能にした.加えて,短時間での反復を可能にするために高速なカトラリー型の味配合デバイスを試作し利用した.いくつかの探索事例を通して,本手法の有効性を検証した.